2023年 10月 01日
東京の階段坂 |
このところ過去の棚ざらえ的レポートが続いていますが、今回は東京で訪れた階段坂の話題です。
東京にはたくさんの坂があり、もともと若い頃から関心を持っていました。十数年前に『東京の階段』という本に出遭ってからは、さらに階段坂の魅力にも目覚め、坂好きに一層拍車がかかりました。それがきっかけで、『おかやま街歩きノオト』第5号も生まれたわけですが…。
↓ 東京の階段(松本泰生・著、日本文芸社、2007年刊)
これを読んで実際に行ってみた坂もいくつかありますが、東京にそう頻繁に行くわけではないし、そのうちに無くなってしまったり、景観が大幅に変わってしまったり、という物件も結構あります。特にコロナ禍でのブランクが大きかったかな。コロナ禍前に自分の中でまたぞろ盛り上がり、かなり緻密に複数エリアの坂めぐりを計画していたのに…。
私が目を付けているのは、階段だけでなく、周囲のレトロな家並み込みでいいなぁと思うようなエリアです。最近ストビューや航空写真で改めて確認してみたら、家並み丸ごと更地になっていた!なんて所もあり、ガックリです。岡山以上に開発の速度が速い東京ですから、仕方ないとはいえ…。
それでも、今年1月の上京でいくつかの魅力的な階段坂を見ることができました。江戸狛犬見学のついでという都合上、文京区と大田区だけですが。
まずは、文京区白山にあるこの階段坂。『東京の階段』にも載っている興味深い物件です。
同書では、「台地の端にある数軒の住宅へ上る階段。上がった先で家々の玄関先をかすめて進むと、別の階段で戻ってこられるが、高台上へ抜けるわけではない。ここの関係者しか使わない、非常にプライベートなアプローチ階段なので、詳しい場所は伏せる。」と説明されています。
場所(具体的な住所)は伏せると書かれているものの、地図と睨めっこして執念で見付けました。が、残念ながらかなり様相が変わっていました。
同書掲載の写真では、階段の向かって左側はコンクリート製のいわゆる万年塀で、右側に手摺りは無し。コンクリートの階段自体もややいびつで幅も狭く見えます(上の写真では幅を広げた痕跡が見えますね)。以前は梯子っぽい体感のかなりスリリングな造りだったようです。なお、左の塀の向こうはお寺の墓地です。
趣きは変わっていたものの、まあ、これでも充分面白い景観。東京のど真ん中とは思えない手作り感(?)はなお残っています。
一応上までのぼってみましたが、よそのお宅の玄関先に侵入するような感じで気まずく、すぐに下りました。
大谷石の高い擁壁がいいですね。いかにも東京らしい風景。岡山でちょっとした石垣といえばほぼ決まって花崗岩ですが、東京はこのようにざらっとした大谷石が多いのです。
この階段坂は途中で左(北)へ直角に折れ曲がっており、その先は数軒の民家が連なる狭い路地。これまたよそ様の玄関先みたいな所なので、ばったり住人に出会って不審者扱いされないか、ドキドキでした。
そこでササっと撮った写真がこれ。下見板張り木造民家がいい味出してます。
この木造民家の角を曲がった所が、最初の階段坂の天辺でした。本に書かれていた「別の階段で戻ってこられる(=2つの階段坂は上でつながっている)」とはこのことなのですね。ならば上の数軒の民家にとっては、どちらか一方の階段(まあ、どちらかと言えば造りが立派な南側の階段)があれば済むじゃないか、と考えがちですが、北側の頼りない階段にも、そこだけに沿う(この階段坂の途中から出入りする)家が2~3軒あるので、こっちも無くすわけにはいかないのです。実に入り組んだ住宅地密集地…、いかにも大都会らしいです。
比較的長い路地を断続的に下りる階段坂です。上の写真では3ヵ所に区切れた小階段が見えますが、路地は写真奥で左へ直角に曲がっていて、そこにもごく短い階段が1ヵ所あったと思います。ここも擁壁は大谷石のようですね。
この擁壁の上は「文京区立井上公園」という小公園になっています。あとで知ったのですが、この公園は井上哲次郎という明治時代の哲学者の邸宅跡で、戦災で焼け残った貴重な土蔵2棟を保存しているのだそうです。公園の前は通らなかったので、まったく気付きませんでした。
さらにその南東、「こんにゃく閻魔」こと源覚寺の裏手にも趣きある階段坂があるとのこと(小石川2丁目)。『東京の階段』では、昔ながらの木造住宅が建ち並ぶ中を抜けていく緩い坂道と説明されていますが、行ってみると軒並みお洒落な新しい家に建て替わっていて、雰囲気激変! ただし、この階段坂から南に分岐する坂のほうにはレトロな趣きがまだ若干残っていました。それがこちら。

この階段坂は奥側の住宅に入るためのもので、行き止まりです。民家が建て替わるたびに継ぎ足し継ぎ足しで階段が作られたのか、新旧の階段が複雑に折り重なっているのが面白いです。
さて次は大田区編。仔連れ江戸狛犬めぐりで、荒藺ヶ崎熊野神社(大田区山王3丁目)から山王厳島神社(山王2丁目)へ歩いていく時に偶然出会った階段坂です。
この二つの神社は直線距離で南北に約400m離れています。地図を見ながら最短距離と思われる道をたどっていると、道の両側に下り坂があり、ここが尾根道であることに気付きました。厳島神社は窪地の池の中にある神社ですので、このまま尾根道を進んでいてもたどり着かないのではないか、と不安になり、少し戻って西側の急坂を下りてみました。そこは尾根道に平行する谷筋の道のようで、こちらから厳島神社を目指すことに…。
この道を北にたどっていると、右手の尾根(高台)に向かって上る階段坂が次々に目に飛び込んできました。
尾根筋の道に通り抜けられる階段ではなく、上った先は行き止まり(民家の敷地?)のようです。大谷石製の階段なのがいいですね。かなり幅広。
階段が微妙に3本に分かれていますが、それぞれが別の家につながるアプローチ階段のようです。よその階段(おそらく私道)を共用するわけにもいかず、付け足されていったのかな。
この谷筋東側には他にも階段坂があったと思います。全部は撮っていません。
民家や樹木の間を通り抜ける長く細い階段ゆえ、途中に街路灯が必要だったのでしょうか。
あとで地図で確認したら、この細い階段坂の先はクランクしながら、最初に歩いた尾根道につながるようです。あのまま不安がらず突き進んだら良かったのですね。でも、谷筋からいろんな階段坂が見れたし、結果オーライです。
この日はとにかくできるだけたくさんの仔連れ江戸狛犬を見て廻るのが目的だったので、厳島神社の狛犬を撮影するとすぐに次に神社へ向かいました。が、あとで地図を見ると、池のすぐ隣(南)に気になる公園が…。現地では全然気付きませんでした。
大田区立の「山王花清水公園 バタフライガーデン」なる小公園で、「アオスジアゲハの舞う公園」を謳っています。画像を見ると斜面地に作られており、イングリッシュガーデンっぽい佇まい。遊具等はない代わりに、湧水や階段・テラス・ガゼボ(西洋風あずまや)があるようです。なんか面白そう。
もう一度行きたくなりました。蝶や花を見るなら春~夏かな。周囲には階段坂が他にもたくさんあるようなので、今度はそちらにも注目しながらゆっくり散策してみようと思います。
by machiarukinote
| 2023-10-01 16:25
| 街歩きレポート
|
Comments(2)
先日読んだ『東京の階段』に関する情報を検索してコチラに辿り着きました。気になっていたのは、本の中で場所を伏せられていた「非常にプライベートなアプローチ階段」でしたが、探してしまうのはすごいですね。そして、現在の情報をありがとうございました。
仔連れ狛犬も好きなので、岡山に伺うことがあれば、本も購入して街歩きをしたいなと思いました。
仔連れ狛犬も好きなので、岡山に伺うことがあれば、本も購入して街歩きをしたいなと思いました。
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ぽかり様、コメントありがとうございます!
『東京の階段』名著ですよね。情報豊富なだけでなく、著者の溢れんばかりの階段愛がしっかり伝わってきます。
私は階段だけでなく、昭和初期の公園のコンクリート製遊具・設備、同じく昭和初期の橋のコンクリート欄干なども好きなのですが、こういう造形美(?)の魅力がもっと広まればいいなと思っています。
岡山は東京と違って公共施設の更新も比較的ゆっくりなので、昔のものがまあまあ残っているほうだと思います。機会がありましたら、ぜひ岡山にお出でください。
『東京の階段』名著ですよね。情報豊富なだけでなく、著者の溢れんばかりの階段愛がしっかり伝わってきます。
私は階段だけでなく、昭和初期の公園のコンクリート製遊具・設備、同じく昭和初期の橋のコンクリート欄干なども好きなのですが、こういう造形美(?)の魅力がもっと広まればいいなと思っています。
岡山は東京と違って公共施設の更新も比較的ゆっくりなので、昔のものがまあまあ残っているほうだと思います。機会がありましたら、ぜひ岡山にお出でください。












