情熱の湯「清心温泉」新たな出発 |
『イチョウ並木の本まつり』『乙女♡同好会』と、怒涛のイベントラッシュの忙しさで気持ちの余裕をなくしかけている中、思いがけず嬉しいニュースに接し、にわかに気分高揚しています。火災で焼失し惜しまれつつ再建を断念した、あのユニークなレトロ銭湯「清心温泉」に新たな展開が・・・!
『イチョウ並木の本まつり』が始まる前々日に、突然、清心温泉番頭さんから電話があり、18日(金)の晩に「清心温泉のその後」を記録したドキュメンタリーの上映会を清心温泉跡地の近所でするから来ませんか、とのお誘いがありました。18日の夜と言えば、『本まつり』会期の最中。よりによって!
実は今年の3月30日にも、4月19日にも、番頭さんからは会合参加や面会の打診をいただいたのに、どうにも都合が悪くてお断りしていました。やけに具体的な日にちを書きましたが、3月30日は京都のレトロビル「辻徳」解体前の一日限りの内部公開を見に行った日、4月19日は稀少なレトロ銭湯「櫻湯」に入るため福知山を訪ねた日・・・忘れもしません。つまり岡山にいなかったのです。そのため、番頭さんや清心温泉サポーターの方々には1年以上御無沙汰していました。

もう忘れられているかも・・・なんて思っていたら、突然の嬉しいお誘い。でも、どうしていつもいつもこう間が悪いのでしょう。が、これを逃したらまた後悔すると考え、頑張って出向きました。一旦「本まつり」会場から帰宅し、翌日用の追加印刷をとりあえず2冊だけ大急ぎで仕上げてから、バタバタとぎりぎりで滑り込み。すぐに上映が始まりました。
清心温泉番頭さんの本業は玉島地区のケーブルテレビのカメラマン。この日上映されたのは、そのプロの技を発揮して作られた、約1時間の本格的なドキュメンタリー番組です(たまテレで最近実際に放映されたもの)。在りし日の清心温泉の人間模様と火災を駆け足で振り返ってから、この夏に動き出した新たなプロジェクトの経緯が丁寧にレポートされるという内容でした。上映前まではビール片手にくつろぎモードだった皆さん(清心温泉常連客たち)も映像開始と共に静まり返り、かたずを呑んで画面を見守っています。
玉島の山間部に露天風呂を作るというその新プロジェクトについては、番頭さんのブログにもある程度書かれていることなのですが、このところ『街歩きノオト』の作成で忙しかったこともあり、ロクに読んでいませんでした。電話をもらった後にあわてて読み返したものの、番頭さんと一部の常連さんが、例によって物好きオヤジのノリで、また何やら新しいお遊びを始めたらしい、ってくらいの認識しかなく・・・。

ところが、ドキュメンタリーを見て、その軽い認識がひっくり返りました。えらく真剣で壮大なプロジェクトではないですか! 詳しいことは番頭さんブログで読んでもらうことにして(コチラ→)、ざっと説明すると、玉島北部の山間部にある自然体験施設兼オートキャンプ場(←正確じゃないかもしれません。そういう方面に疎いので)にキャンプに行った番頭さんと一部の常連さんが、「ああ、ここに露天風呂があったらなぁ」と話したのがきっかけとなり、施設オーナーさんの快諾を得て、本当に露天風呂を作ることになったというのです(費用や手間は清心温泉サイド持ちで)。しかも、環境カウンセラーでもある一級建築士や建築デザイン分野の大学准教授ら専門家の知恵を借りて、沢水を薪で沸かす五右衛門風呂方式の露店風呂に計画修正。使用する木材(ヒノキ)も、ボランティアのベテラン林業者の指導のもと、地元の山から自らの手で切り出すという念の入れよう。単純にエコとか自然志向とか人間回復というより、これぞ「SDGs(持続可能な開発目標)」ですね。
人々が集い交流できる理想のお風呂を作りたい、と画面の中で熱く語る清心温泉常連さんたち、一級建築士、施設オーナーさん・・・思わずうるっと来ました。岡山市内ではなく遠く離れた玉島の山中だけど、街の銭湯ではなく自然の中の露天風呂だけど、でも、清心温泉スピリットは健在だと感じました。本当に思わぬ方向で驚きましたが、私が気軽にふらっと訪問できる場所ではないとはいえ、何らかの形で応援したいと思いました。

「えんま像」の最後の再取材で2週間ほど前に笠岡へ赴いた際、JR山陽本線の車中から新倉敷駅辺りの景色を目にし、「番頭さん元気にしているかな~。玉島取材(2017年8月)の時にはお世話になったな。あの時はまだ清心温泉は健在だったな~。」なんて思い出していたのです。番頭さんブログともしばらくご無沙汰していた時だったにもかかわらず、なぜかふと念頭に浮かんだのでした。これも虫の知らせだったのでしょうか。清心温泉に関しては、思い出すにしても、何だか切ないような寂しいようなほろ苦い感情がどうしても混じってしまってモヤモヤしていたけれど、これからは違いますね。線路北側山間部の五右衛門風呂に想いを馳せれば明るい気分になりそうです。
余談ですが、その五右衛門風呂(露天風呂)の建設地がなかなか良さげな所のようなのに気付きました。私はまだ正確な位置を知らないのですが、番頭さんや常連さんたちの話によると、玉島北部の真備町に近いエリアとのこと(倉敷市玉島道口のどこか)。地図で見てみると、どうやら「琴弾岩」や「猿掛城跡」の真南、山一つを超えた辺りらしい。北の空を仰げば吉備真備と荘元佑を偲ぶこともできるお風呂だなんてオツですね。超マニアックな歴史ファンにしか通じない愉しみかもしれませんが・・・。とにかく、なんか楽しげで建設的なことが始まるのは大歓迎です。

