「清心温泉」に関するご報告 |
大きな要因は、設定期限の7月29日までに集まった募金が目標金額より大幅に下回ったからですが、8月4日に行われた関係者の会議では(私も参加させていただきました)、それでも何とか再建を目指す道が真剣に議論されました。それらの意見を踏まえて、代表の方たちが二宮番頭さんと話し合った結果、無理は禁物ということで、最終的に番頭さんが判断されたようです。
残念ですが、ある意味、現実に即した妥当な判断と言わざるをえません。しかし、あの会議でも皆さん口々に話しておられたように、清心温泉をきっかけに生まれた人の輪だけは無くしたくない、という思いはこれからも続くと思います。銭湯というハコモノは無くても、この人の輪はこの先何らかの形で活かされるのではないか、と期待しています。絶対このままでは終わらない、って感じですよ。
このブログでも、再三募金を呼び掛けてまいりましたが、応じてくださった方々には本当に申し訳ありません。クラウドファンディングのほうは、目標額に達しなかったため自動的に金銭のやり取りはないまま終了しましたが、復活基金の口座に直接振り込んでくださった方々は、返金の手続きを始めていますので、メールで基金事務局にご連絡をお願いいたします。
私の場合、もともとは必ずしも風呂に入ることが好きなわけではなく、銭湯の古い建物や設備に心惹かれてレトロ銭湯訪問をするようになった部類でして、清心温泉も最初はそういう目線で訪れたわけです。戦後創建の清心温泉は、そういう意味では決して目を見張るほど古くて貴重な建物・設備ではありませんでしたが、いかにも昔ながらの銭湯らしい庶民的な居心地の良さを実感しているうちに、これこそが銭湯の魅力なのだと気付かさせてくれました。
観光地の文化財級のレトロ銭湯へ行っても、ただ入浴して外観・内装を見物して・・・というだけじゃ、なんか違うなって感じなのです。もちろん、旅先の銭湯でも番頭さんや女将さん、常連さんが気さくに接してくれて楽しかった~!ってことは何度もありますが・・・。やはり銭湯は人とのふれあいが肝心なのですね。そんなことを意識するようになったのも、清心温泉のおかげです。
また、清心温泉がきっかけで、関西の銭湯イベント「ニッポン銭湯王国展inひょうご」(尼崎市)や「銭湯シンポジウム:地方の銭湯」(大阪市西成区)にも赴いて、レトロ銭湯に関する情報や認識を深めることができました。こんなことがなければ、わざわざ遠くまで見に行ったりしなかったでしょうから。世の中にはレトロ銭湯を愛する熱い人たちがこんなにもいて、守るべき貴重なレトロ銭湯がこんなにもあるんだ、ということが実感され、勇気と希望(←少々ベタな言葉ですが)が湧いてきました。
岡山にだって、数はだいぶ減りましたが、貴重な現役レトロ銭湯はいまだ存在しています。奉還町の「鶴湯」、倉敷の「戎湯」、児島の「昭和湯」、下津井の「大黒湯」。いずれも浴室に花崗岩を使っている戦前からの銭湯です。設備的には清心温泉より貴重な年代物と言えるでしょう。既に廃業されてはいますが、外観の素晴らしさでは玉島の「港湯」も外せません(建物は現存)。今あるこれらをどう守っていくか・・・。外野で気を揉むばかりで個人ではどうにもならない、と思い込んでいましたが、先日のシンポジウムを聞いていたら、何か方法はあるのではないかと思えてきました。
清心温泉のカタチは無くなっても、大きなことを残してくれた、と感謝しています。
↓ 奉還町の「鶴湯」。地元特産の万成石尽くし!
↓ 倉敷の「戎湯」。新体制で営業再開されたようです。
↓ 児島の「昭和湯」。こちらは脱衣場も独特でレトロです。
↓ 下津井の「大黒湯」。花崗岩と市松模様タイルのコンビネーション。
↓ 玉島の「港湯」。既に閉店されていますが、目を引く建物は健在。