風呂屋にロックスター!? 驚きの「清心温泉」 |
4年ほど前に一旦廃業した銭湯を、今は亡きあるじのサラリーマンの息子さんが奮起して昨年夏に再開したという、驚きの風呂屋さんであります。銭湯愛好家の世界では結構話題らしい。今や銭湯は風前の灯で、廃業が相次いでおり、『ノオト』第10号(2010年)で取材した銭湯も、5軒のうち2軒は既に廃業されています(玉島の港湯と西大寺の柳湯。どちらも素敵な佇まいの銭湯だったのに。残念!)。そんな中、敢えて再開されるとは、なんという心意気!
具体的なレポートや写真は『ノオト』第17号に載せますので、いずれそちらを見ていただくこととして、今回、銭湯とはあんまり関係ないところでも驚きました。なんと!私の大好きなロッド・スチュワートのポスターが女湯脱衣所に!! こんな所でロッドに遭遇するとは。
↓ 女湯にロッド!!
↓ 全体像はこんな感じ。ロッド、デヴィッド・ボウイ、ジェフ・ベック、長淵剛。
ここには写っていませんが、クイーン、ピンク・フロイド、レッド・ツェッペリンも。ひぇ~、どういうこっちゃ。なんというミスマッチ!
この銭湯、プロ野球選手のサイン色紙が壁にずらりと掲げられている、という噂は聞いていましたが、それは男湯のほうらしい。女湯は何故に往年のロックスター?と思い、オーナー(「番頭」と自称されています)に尋ねてみました。いわく、昭和っぽく演出しようと、男湯には自分のコレクションの野球選手のサイン色紙を貼ってみたが、女性にはカッコいいロックスターの写真ほうが喜ばれるかな、と思って…だそうです。ロックのポスターは「番頭」さんのお兄さんの趣味だとか。
しかし、昭和っぽくの演出が、よくありがちな石原裕次郎とか美空ひばりじゃなく、あるいは百恵ちゃんとか俊ちゃんじゃなく、70年代ロック、それも洋楽もあり、とは恐れ入りました。確かに昭和だよね。まさに我がヤングな時代でド壺だわ。「番頭」さんのブッ飛びなセンスに脱帽!
「清心温泉」は、「番頭」さんがサラリーマンを続けながら、勤めが休みの日(主に週末、不定期に月数日)に営業する、という形態をとっています。採算度外視の、いわばサービス精神と遊び心の極致みたいな冒険的活動といいましょうか。銭湯入口わきでは、「番頭」の友人夫妻がボランティアで焼き鳥焼きに精を出し(2本100円で販売している)、番台では、これまたボランティアの清心女子大生が愛らしい浴衣姿で応対。「番頭」さんは、元気に接客しながらも、ボイラーの調子が悪い、と忙しく動き回る。
なんか、まるで下町人情ものの映画でも見ているような・・・。皆さん大変そうだけど、でも本当に楽しそう。こういうのをロマンというのでしょうね。
↓ なごむ「清心温泉」焼き鳥コーナー。要請があれば館内にもデリバリー。
「番頭」さんいわく、このところボイラー(設置後30年近く経つ)の調子が悪く、しょっちゅう自然に消えてしまうのだとか。そのたびにまた点けに行かなければならないそうです。修理しようにも古い機械なのでやってもらえる所がなく、リニューアルするには何百万円もかかるから無理だし…とのこと。ひょっとしたら今日が最後になるかも、と衝撃発言! いつも月初めにはその月の営業日がブログで告知されますが、今月は探り探りの状態なので、2日の次はとりあえず15日としか告知できていない、それもことによったらどうなるか…と。
せっかく素敵なパラダイス銭湯に出会えたのに、いきなり最後かも、だなんて~!! ボイラーの調子が戻ることを祈るだけです。