寺社好きの貴方に… 『うわさの神仏』 |
神社仏閣好きで神仏の知識豊富な著者が、神仏についてのうんちくを語り、また、全国の気になる寺社を訪問してルポするというお笑い(!?)エッセー集です。確かに文体はくだけているというか、かなりブッ飛んでいますが、知識は本格的。多摩美術大学大学院修了、美術館学芸員として勤務(のち退職して文筆家に)、というそうそうたる経歴の持ち主なので、なるほど…と納得しました。
日本の神や仏って沢山いるせいかすごく分かりにくくて、仏については何とか大雑把には把握できても、神となるともうお手上げ。神仏混淆の神(仏?)に至ってはもう何が何だか状態…。『街歩きノオト』第11号の取材で恩徳寺(岡山市中区沢田)を訪ねた際も、お寺の方から「稲荷神とダキニ天」云々という説明を聞かされ、必死で丸覚えして、家でもう一度調べ直してやっと理解しました(^_^;)。
その分かりにくい神仏について真正面からマジメに解説したら、それこそ気の遠くなるような…眠くなるような本にしかならないでしょう。このくらいポップに書いちゃって丁度良いくらいかも。面白くてタメになる。いや~、なかなかの快挙だと思います。浅薄な…という批判もあるようですが、とかく取っつきにくい神仏について、それぞれ明確なイメージを提示してくれて、興味を掻き立ててくれる、これだけで充分スゴイことです。詳しく知りたい人はさらに専門的な本を読めばいいのですから。
とにかく、神仏が好きで好きでたまらないという著者の熱いパッションが、文の端々に溢れ出ているのがいいですねぇ。特にお気に入りの神様とか仏様はこれこれで、こういうとこが好き!なんて書いてあるのを読みながら、わかるな~と思ってしまいました。私の場合、好きな歴史上の人物とか、そういう感じですもん。
ただ、決定的に私と違うのは、この著者は霊感がある(と言っている)点。私、ありがたいことに霊感ゼロです。なんか怪しい言われのある場所とか墓地とか古~い建物とか、よく行きますが、変な感じがしたとか怖かったとか全然ないです。あとから、あそこは有名な心霊スポットだと知らされて、ええっ!と驚くこともありますが、けっこう居心地良くて長居したってこと多い。私って何なんでしょうね?超鈍感なのか、あっちの人寄りなのか?
この本でも、東京の谷根千エリアの「S公園」(旧大名庭園)が幽霊の名所だと書いてあるのを読んで、あせりました。いや~、いい公園だと思ったのになぁ。ものすごく写真撮りまくったよ~。写真見返すのがちょっと怖くなったりして…。