奈良訪問② 吉野・金峯山寺 |
終着駅の吉野で降り、ロープウェイに乗り換えます。徒歩だとつづら折りの急坂をショートカットで一気に登るというもので、実際の走行所要時間は3~4分ほどと超短い。日ごろ歩くのをモットーにしている私としては歩いてもいいかな、少なくとも下りは、とも思いましたが、「現存する日本最古のロープウェイ」とのキャッチフレーズに惹かれ、往復乗車券を購入しました。
ふもとの駅はこんな感じ。レトロ感出しています。
山上の駅に降り立つと、そこは両側にお土産屋さんが並ぶ吉野のメインストリート。目的の金峯山寺はその道を先に進んでわりとすぐ、10分もかからなかったと思う。巨大な山門(仁王門)が出迎えます。
拝観券を購入して本堂(これまた巨大!)に入ると、入り口でビニールケース入り木札のお守りと下足入れのエコバッグ(金峯山寺のロゴ?入り。持ち帰ってよし)を渡されます。わ~、サービス満点、お得感!お寺さんの頑張ってる感出ています。見せてやるんだとばかり、当然のごとく拝観料丸儲けみたいな寺社も多々ある中、大寺に似合わずこの低姿勢、好印象です。もっともこれ、やり過ぎると薄っぺらい観光寺になってしまう危険があるけど、そこは由緒ある修験道の古刹、厳粛な雰囲気はしっかり守っていてさすがでした。
↓ 金峯山寺蔵王堂(国宝)
宿(いつもの「ゲストハウスたむら」)の主人が「あの蔵王権現さま、青鬼みたいでスゴイよ。」と言っていましたが、確かに彩色が鮮やかに残っていて、すごいインパクトです。全身真っ青。しかもデカイ。中央の1体は7mを超す身長だそうで、両脇の2体も6m近いそうです。それが各々、髪を逆立てた憤怒の相で、片足を振り上げ、大見えを切るようなポーズで巨大な厨子に収まっている。ただデカくて青いだけでなく、よくよく見ると、腰巻(?)のめくれた裾の部分に繊細華麗な文様が描いてあったりして、芸も細かいです。
と、感心して眺めていたら、何やら内陣があわただしい。若いお坊さん(小僧さん?)たちが小卓を並べたり蝋燭を立てたりと、忙しそうに立ち働いています。11時から法要があるのでどうぞご参列ください、とアナウンスもありました。なんでも、毎月7日は開祖の役行者(えんのぎょうじゃ)の月命日だそうで、法要を執り行うとのこと。何も知らずに訪れましたが、そういう日だったのですね。滅多にない機会なので、約1時間の法要に付き合いました。
しずしずと入堂したお坊さんは十数名。なかなか大がかりです。始めと終わりにホラ貝が吹き鳴らされるという、いかにも修験道のお寺らしい法要。力強い太鼓や木魚の音、朗々たるソロと荘厳なコーラスで響く読経。そして五色の散華がまかれる・・・。
散華に関しては、前回の奈良訪問で苦い思いをしました。奈良国立博物館の仏像館(平常展)で、これまた偶然、秋の仏像供養法要というのに出くわしたことはブログ(→コチラ)にも書きましたが、その時、法要終了直後に散華のすさまじい争奪戦が繰り広げられ、目が点になったのです。私も記念に1枚くらいもらおうかな~、なんて思っていたら、法要が終わった途端、リュック姿のオタクっぽいお兄さんやおじさん数名が猛ダッシュで殺到、ハゲタカのような勢いで拾いまくり、あっという間に一枚もなくなってしまいました。で、拾ったら、法要の余韻もへったれもなくサッサと出口に直行。仏様たちの前にふさわしからぬその殺気立った雰囲気に、せっかくの法要の感激も少々減じてしまった、というオマケが実はあったのです。
そんなトラウマからか、今回、最前列で参列していた私の目の前に散華が2~3枚飛んできた時には、思わず今度は逃すまじとばかり反射的にキャッチしていました。しかし、他の参列の皆さん(全部で数十名はいたと思う)は、目の前に散華が落ちても拾うでもなくそのまま。散華のほとんどはお坊さんの並ぶ内陣内に落ちましたが、法要が終わると小僧さんたちが来て、それらを全部拾い、お守りとしてお使いください、と言いながら参列者に配り始めました。もらう方も我先にと殺到するわけでもない。年配の方が多かったですが、皆ありがたく頂戴するという雰囲気でした。奈良国立博の時と違い、こちらは読経のお坊さんの人数も多く、まかれた散華の数も多かったので、余裕があったということもあるでしょうが。私もあと2枚ほどいただき、五色全部揃いました。達成感!国立博での散華のトラウマがこれで解消しました~。
↓ 金峯山寺蔵王堂の法要で巻かれた五色の散華。
後ろは購入した蔵王権現のお札。どちらも大切にします!
そんなこんなで、金峯山寺はすごく好印象。お寺さん側も参拝者側も・・・。あと味爽やか気分でお寺を後にしました。また来よう!