東京・2011夏 |
で、久々の街歩きは、用事があって帰省がてら行った東京です。といっても、あまり頑張って歩き回るのは避け、いくつかのスポットに絞って訪問してきました。
まずは、目黒の雅叙園ホテル旧館。この建物については、数年前『芸術新潮』の“ニッポンのバロック”という特集で初めて知りました。昭和初期の和風建築なのですが、内装は、日本名物ワビサビもぶっ飛ぶ装飾過多の豪華絢爛極彩色!あまりのド派手さ・キッチュ感に度肝を抜かれ、機会があったら一度見てみたいものだと思っていました。
今回、東京で会った友人に、有料だが見学できるという耳寄りな情報を教えてもらい、急きょ飛んで行ったというわけです。ここでは、その豪華な建物を利用した展覧会が時々開催されているそうで、ちょうど私の上京中には歌舞伎座(東京・東銀座。現在改築工事中)の回顧展が開かれていました。
目黒雅叙園ホテルは20年ほど前に大々的に建て替えられて近代的なビルになったのは知っていましたが、旧館もある程度残っているものとばかり思っていたら、実際は保存されているのはほんの一画だということが訪れて初めて分かりました。「百段階段」と呼ばれる、階段が断続的に連なる長い廊下とそこに付随するいくつかの部屋が保存されている棟で、展覧会はそこで開催されていました。もちろんこれだけでもかなりの面積ですし、代表的な豪華な部屋もちゃんと残されてはいるのですが、帰りにホテルの売店で購入したカタログによると、元々の建物全体は、残されている部分とは比べものにならないくらい広大で贅沢尽くしだったようです。残念、そっちが見たかった!
しかし、岡山に帰ってからネット等でさらに調べてみたら、解体された旧館の内装もできるだけ現在の建物内に移して残してあるそうです。そういえば新館にはそれっぽい内装もあったけど、きれいに修復されているので、てっきりイメージ的再現の新しいものかと思っていました。よく見ておけばよかった…。有名な豪華トイレも再現保存されているとか。どこにあったんだろう? ちょっと下調べ不足でした。実家だとパソコンが使えないので不便なんだよね。
雅叙園ホテルではガイド付きの館内見学ツアーもやっているらしく、そういうのに参加すれば、「百段階段」だけでなく、ひょっとしたら新館内の再現保存部分も見られるのかもしれませんが、お食事付きで5000円~1万円くらいの料金らしい。お高いな~。
さて、次に訪ねたのは、港区広尾の天現寺。たまたま広尾で友達と待ち合わせをしたので、その前にちょっと足を延ばしてのぞいて来ました。このお寺は毘沙門天を祀っていて、虎の狛犬(?)がいるので有名です(その筋のマニアには)。
天現寺というのは、交差点の名前として東京ではよく知られた地名ですが、肝心のお寺そのものは意外に地味でした。本堂は建て替えられたばかりのピカピカでしたが、本堂と庫裏(?)が並んで建つのみの単純な伽藍で、境内もそう広くない。観光的なお寺でもないので、ひと気もなくひっそりとしていました。
本堂の前と庫裏の前にそれぞれ一対の虎の石像。
虎というので何となく大きなものを想像していたのですが、どちらも意外に小さくて、平凡な(街の寺社でよく見かける小ぶりな)狛犬サイズでした。しかし、実際の大きさ以上に見える存在感は大したもの。どちらも気に入りました。寅年の年賀状にお勧め…かな。
最後は、今ちょっとしたトレンディスポットの蔵前界隈。台東区の蔵前から中央区の馬喰町にかけての一帯は、昔から問屋街として有名なエリアですが、昨今このあたりの古い空きビルなどに、モノづくりやアートをする人々が店やアトリエを次々に構えるようになり、ちょっとした話題になっているのです。岡山で言えば問屋町や出石町みたいな感じでしょうか。もともと実家からも近く、親戚も何人か住んでいる辺りなので、私には昔から馴染みの地域なのですが、意識的にそのような店を訪ねたことはないので、今回あらためて行ってみました。
その日のショップは、恵比寿の手作り菓子カフェ「歩粉」の焼き菓子、手作り飲み物職人「ノミモノヤ」のソフトドリンク、白樺の皮で編むかご細工「ハントヴェルク」の作品展示販売、salviaのオリジナル商品の販売、といった内容でした。出展者は毎回変わるそうです。お菓子や飲み物を楽しみながらのんびり過ごすセキさんの知り合いらしきアートな人々、万の単位で買い物するsalviaファンらしき熟年女性、近所なのでまた来ましたという若い人…などなど会場の雰囲気を観察しているだけで面白かったです。私、セキさんのお顔はよく知らないのですが、今思うと、ひょっとしてあの人?と思われる人物は確かにおられました。誰も特別に話しかけたりしていなかったように見えたので、その時は気にもしていなかったのですが…(汗)。
下(↓)の写真は「salvia」のアトリエ入口のインテリア。セキさんが現在力を入れているスウェーデン織りのバンドがさりげなく飾られています。セキさん直々指導のカード織りバンド作り体験のワークショップも別の日にあるとか。東京の人はいいなぁ。